木村文庫

内 容 経済学
構 成 465冊(和書454冊 洋書11冊)
旧蔵者 木村久夫 (旧制高知高校卒業生,京都帝国大学学徒兵)
収蔵年 1974
目録 目録リスト

木村久夫について

1918年(大正7)4月9日生。 大阪府吹田市出身。
1942年(昭和17)3月、  旧制高知高等学校(高知大学の前身)を卒業。
1942年(昭和17)4月、   京都帝国大学経済学部に入学。
1942年(昭和17)10月1日、 大阪中部第23部隊入営。
1943年(昭和18)9月、   インド洋カーニコバル島に配属。
通訳官として終戦を迎えるが、終戦直前に起きたスパイ事件関係した容疑で戦犯として捕らえられる。
1946年(昭和21)5月23日、 シンガポールのチャンギー刑務所にて戦犯戦死。 28歳。


 獄中で偶然に入手した『哲学通論』(田辺元著・岩波全書)の欄外の余白には遺書ともいえる様々な感想が記入されていた。遺品となったその書籍に記されていた手記が、後に恩師塩尻公明により『或る遺書について』(新潮社 1948)に紹介された。その手記は『きけわだつみのこえ』の最後に収められている。  「死の数日前偶然にこの書を手に入れた。死ぬまでにもう一度これを読んで死に就こうと考えた。四、五年前私の書斎で一読した時のことを思い出しながら、「コンクリート」の寝台の上で遥かなる故郷、我が来し方を想いながら、死の影を浴びながら。数日後には断頭台の露と消える身ではあるが、私の情熱はやはり学の道にあったことを最後にもう一度想い出すのである。」          『きけわだつみのこえ』より


木村文庫について

昭和49(1974)年度に、木村久夫氏の遺蔵書を、ご遺族より高知大学附属図書館に寄贈されたものである。木村文庫の図書には、木村の手による線や読了の感想、周りで起きた時々の事柄など書込みのあるものも多く、当時の木村さんが偲ばれる。 日付の入ったものを見ていくと、旧制高知高等学校時代の昭和13年からカーニコバル島配属直前の昭和18年7月までに亘る日付が見られる。