南路志


1815(文化12)年高知城下朝倉町、武藤到和・平道父子が中心となり編纂 されたものであり、120巻に及ぶ大叢書である。 こう国、年譜、付録、拾 遺の4編にわけられ、その中核となるものが、こう国編であり東安芸郡より 西幡多郡に至る土佐七郡の地誌である。
「南路志」の特色である歴史的、地理的、故実的研究が詳細に集成され、 これをひもとくことによって神社仏閣名所、旧跡をはじめ古人の由緒、古 文書、その他産物、奇談、詩歌、人物、年中行事にいたるまで 明し得る ものである。
ことにこの こう国編は全文著者の書下しであり、著者の生涯を賭けたも のであったことが窺われ、この意味ではかの鹿持雅澄 の大著「万葉集古義」と双壁をなすものといっても過言ではないと思われ る。ちなみに、この「南路志」の原本は山内家所蔵、県立図書館所蔵共に 戦災により焼失してしまったが、小関豊吉氏の写本になるものが高知大学 教育学部に引き継がれ、図書館に保存されていたものを底本として高知県 文教協会より洋装本上下2冊として、1959〜1960年に出版された。

加藤忠雄(元附属図書館閲覧係長)


 

Special Collectionへ

図書館のホームページへ